嵐の話

ask.fmにいただいた質問の回答です

 

あやかさんは嵐もお好きだったのですね!誰が好きだったのですか?嵐が好きだったときのお話を聞かせてください!

 

嵐については時折、知った口を叩くめんどくさい懐古BBAと化して「わたしの知ってる嵐は~」みたいなことを言い出すのですが、わたしが嵐を好きだったのは2002年から2006年という4年間だけで、しかもそれも10年前のことなので、実際わたしが知らない嵐のほうがずっとずっと多いのが事実です。
それでも、その頃は本当に大好きだったし、いまのヲタクとしての在り方を決定付けたのは嵐ファンをしていた頃だなと思うので、思い入れが強く、時折懐古厨が顔を覗かせてしまいます。

 

誰が好きだったのかって問われると結構困ってしまうのだけど、基本的には松本くんのファンだったかなと自認しています。
ただ、5人とも大好きだし、時期によって誰が一番っていうのが変わっていたりするし、まあ結局のところただの箱推しなので、誰担みたいなのはない、かな。
5人が5人とも大好きで、いいところもダメなところもひっくるめて愛おしくて、ひとりのときも、ふたりのときも、もちろん5人のときも、全部全部大好きで、この子たちを嫌いになることなんて絶対ないんだろうなって、あの頃は思っていました。

 

わたしが嵐を好きになった、というか気になり始めたのは2002年。
もともとブイが好きだったっていうのもあって、デビューの頃から嵐を知ってはいたし、曲を聴いたりドラマを見たりはしてたけど、積極的に手を出し始めたのがこの頃で、きっかけというきっかけはないんだけど、曲とか深夜の番組(真夜中の嵐)とかでじわじわ興味を持つようになった気がします。
夏のコンサート(HERE WE GO)に行きたくて、この頃は行こうと思ったらあとからでも十分チケットは手に入ったんだけど、日程が合わなくて断念したのを覚えてる。
ピカ☆ンチの舞台挨拶に行ったりはしてたけど、嵐としての初現場は03年の新嵐コン。
当時、ブイでも1ツアー1公演参加だったのに、なぜか新嵐は横アリ2回行ってるんですよね。コンサートや舞台の複数回参加をし始めたのも、嵐がきっかけ。

 

この頃の嵐は、とてもおもしろかった。
正直、歌も踊りもトークも、レベルとしてはまだまだだった。コンサートの内容だって、テレビ番組だって、個人のドラマだって、手放しで褒められるものばかりではなかった。
それでも、とてもおもしろかった。
ちょうどJ Stormができた頃で、ワンコインシングルやメンバーがジャケ写にいないシングルだしてみたり、5人出演の映画を作ってみたり、新しいことを始めようとする気持ちが感じられた。
数字には繋がらなかったり、こけたりしたものもあるけど、新しいことをしよう、いままでのジャニーズになかったことをやろうっていう、希望と可能性に満ちていた。
デビューから3年が過ぎた頃で、グループとしてだけでなくメンバー個々の活動の幅も広がっていって、それぞれが自分の道を模索しいて、ニノが青の炎で俳優として注目されたり、松本くんがごくせんやきみペで世間的認知度を上げたり、大ちゃんが青木さんやプーシリーズで舞台の道を獲得したのもこの頃。
嵐を見ているのが、彼らについていって、新しい世界や作品に触れるのが本当にたのしかった。

 

メンバーの関係性もこの頃はちょうど変化の時期だったように思う。
いまの嵐は5人みんな仲良しこよしキャッキャみたいな感じだと思うけど(外野からするとそういう売り方しているように感じているけど違ったらごめん)、当時はそうでもなかった。
もちろん仲はよかったし、表向きは普通だったけど、翔ちゃんはまだトゲトゲしてたし、松本くんはキャラ作りに迷走してたし、相葉ちゃんはいまのおばかキャラって感じじゃなく本当にちょっとヤバイ天然っぷりだった。あと体弱かった。
ニノは相葉ちゃん大好きで(これはいまも変わらないかな)、一方松本くんとは微妙な距離があって、見ていて危なっかしい感じで、コンサートでニノ潤でバラード曲をやったことがあったんだけど、曲中一切目を合わせなかったりして、そういう関係性も見ている分にはとてもおもしろくて。
大ちゃんはこの頃ようやく、嵐でいる決意を固めたんじゃないかなとわたしは思っているのだけど、まだどこか自信なさげで、みんなより1.5歩くらい後ろを静かに歩いていたイメージ。
いまはメンバーみんなリーダー大好き!って感じだけど、最初は恐る恐る触れるようなところがあって、大ちゃん自身が軟化するのに合わせて少しずつ距離が縮まっていたように思う。
5人がひとつの塊という感じではなく、どこか危ういバランスの上にあって、それが少しずつ、いまのようなまとまりを得ていくという変化を見守るのも、すごくおもしろかった。

 

ちょうどブイが落ち着いてきた時期っていうのもあるけど、そういう嵐を見ているのが本当にたのしくて、グッズや販売物も色々買ったし、現場も色々行った。番協とかも行ってた。とってもたのしかった。
それが、「おや?」と思いはじめたのが2005年頃。
シングルや個人仕事など、個人的にあまりテンションの上がらない内容の作品が続いたのもあって、少しずつ違和感を感じはじめました。
最初は「今回のシングル、それほど好きじゃないな」とか「この手のタイプのドラマは苦手なんだよな」とか「今回の舞台は1回観たら十分って感じだったな」とか、そんな小さなこと。
でも、きっと次は大丈夫だろう、またワクワクするものを見せてくれるだろう、そう言い聞かせてついていくも、亀裂は少しずつ少しずつ広がっていくばかり。
そして自分の気持ちと反比例するように、じわりじわりとファンの数が増えているのを感じていました。
世間的に、嵐のブレイクは07年頃とされていると思います。
確かに会場がドームになったり、世間一般の認知度がぐんと上がったのはその頃だと思います。
ただ、中にいた身としてファンの増加を感じ始めたのはもっと早く、05年頃でした。
相葉ちゃんや大ちゃんの舞台では、当日券を求める人でグローブ座に長蛇の列ができたり、コンサートチケットもだんだん取りにくくなってきていました。
松本くんが花男で新規ファンをどっさり捕まえてきたものこの時期。
そして翔ちゃんと大ちゃんのソロコンサートが決まった頃、いよいよもって、わたしの求めるものとは違う方向に進んでいるぞ、という確信にも似た気持ちを得るのです。

正直、この時期が一番つらかった。
大好きだったはずなのに、それぞれの仕事を楽しいと思えない。次の仕事にわくわくできない。それでも、自分は嵐のことが好きなんだから楽しいって思わなきゃいけないって自分に言い聞かせる。
嵐が好きで、たのしいねかわいいねって盛り上がってる周りの友だちには到底本心は言えない。
本心では盛り上がれない仕事の中から、一生懸命小さな「好き」を探すことは、本当につらかった。

そんなツライ時期、2006年の夏に発売されたアルバムの中に「COOL&SOUL」という曲があります。
その歌詞には

五人で奏でるのは HIP HOP
じゃなく 真似し難い様な HIPなPOP right?
そして幕開け 第二章

とあり、最後は

ARASHI IS BACK

で締められています。
別に本人たちの作詞ではなかったけれど、嵐のことを歌ったであろうことなのは歴然で、その夏のツアータイトルにも、アルバム名でもないのに冠されていて、本人たちの想いがこの曲に乗せられているのだろうということは感じていました。
ファンも増えてきた、個々のステージも変わってきた、グループが変換期に来ている、「第二章」の「幕開け」を、本人たちも意識している。
わたしはこの曲に賭けていました。ARASHI IS BACKの言葉に賭けていました。

 

コンサートでは、この曲は後半に持ってきていたような気がします。
もう細かいところはよく覚えてないんだけど、「心して聞いてください」というなんとなく上から目線の言葉のあとに始まったCOOL&SOULは、サングラスをかける・中指を立てる・テーブル(なんかセットにテーブルがあった)の上に土足で上がる、というガラの悪い演出で、わたしはその瞬間に終わりを悟りました。
ついていけない。もう終わりだ。わたしの好きだった嵐は帰ってこない。
彼らが向かう「第二章」は、わたしの求めているものとは違う。
持っていたツアーオーラスのチケットを手放し、シングルの予約を破棄し、グッズも次々手放しました。
嵐から離れる決断をしました。

 

実際、そのあと彼らは華々しい第二章を歩み始め、その成果はみなさまもよく知るところと思います。
彼らが選んだ方向は世間的に大成功で、彼らの物語に多くの人が共感し、声援を送る。これでよかったのだと思います。
余談ですが、この3年後、10周年のコンサートでわたしは一度だけ嵐の現場復帰をしています。
10周年を、自分の目で見たかったのです。
5人でこぢんまりまとまっている姿も、揃ってファンのほうを見る眼差しも変わってなかったし、当時大好きだった曲もや、まぼろし扱いされてた懐かしい曲も聴けた。その場で泣き崩れるくらい嬉しかった。
それでも、国立という、とてつもなく大きなステージの真ん中に立つ彼らは、やっぱりわたしの求める姿ではなかったし、きっとこの先も、それは変わらないだろうと思う。

結局わたしは自分の理想を押し付けていただけだろうし、いまさらとやかくいうつもりはありません。
それでも、ほんの短い期間の、わたしが好きだった嵐は、いま思い出してもやっぱりたのしくて泥臭くて輝いていて、希望に満ちていたから、これからもわたしは時折、知った口を叩くめんどくさい懐古BBAと化して「わたしの知ってる嵐は~」みたいなことを言うのだと思います。